Blog
2020/03/23 13:36
人間はだれしも「体内時計」を持っています。
「休みの日でゆっくり寝たいと思っても
いつも起きている時間と同じ時間に目が覚めてしまう」
「アラームが鳴る数分前に目が覚める」
こういったのも体内時計の影響によるものです。
でもこの体内時計とはいったい何なのでしょうか。
この時計が存在する脳内の物理的な場所が
あることをご存知ですか?
これは脳内の視床下部の視交叉上核に存在する、
略してSCNと呼ばれ、
人間の身体機能や細胞の活動リズムを作る
役割であり、音楽でいうところの
「指揮者」のようなもの。
血圧や心拍数などの循環機能や
睡眠、食事、睡眠、起床してから
睡眠まで、身体のあらゆる生理機能に、
活動と休息のリズムを与えてくれています。
ホルモン分泌や自律神経系の
リズムの調整にも絡んでいます。
自律神経系は意識していない身体機能(呼吸や心拍など)を
制御しているし、
またホルモンであるコルチゾールの放出を
調整したり、睡眠を促すホルモン物質
メラトニンの放出に指示を出してくれます。
メラトニンは就寝の約2時間前に分泌されます。
この地球上における自然界の法則では
私たちの身体的な全ての生理機能などは
日光のリズムに沿って生きています。
太陽光が減少すると、体は睡眠準備に
入るきっかけとなり、
SCNは入眠までの各フェーズ(レム状態、睡眠中の眼球運動)に
まで密接に関与していて、
夜明けには、脳、身体機能、細胞がスムーズに
覚醒へと向かえるよう
スイッチングにも絡んでいます。
このように、人間のSCNの約100,000個のニューロンは
目覚めてから睡眠までの全ての身体機能を
毎日、ちゃんとした規則正しいリズムに沿うよう、
そして日中フル活動し夜に向けて
休息するというリズムを
調整してくれているんですね。
これが元来、人間に備わっている
元々持っている回復機能です。
オーケストラの指揮者が不在になると
リズムがまったく分からないし、
楽器演奏者もどんなペースで演奏したらいいか、
どうしたらいいか、
みんな分からなくなって演奏が
成り立たなくなります。
それと同じような感じです。
この体内時計についての科学的な考察って
実は物凄く最近のことで、2017年、
ノーベル生理学・医学賞を受賞した
Jeffrey C. Hall博士によって認知された
ことなんですって。
これまでは脳にのみあると
考えられていた体内時計を、
博士は「体内のほぼすべての細胞にも独自の体内時計がある」と唱え、
各細胞は、24時間の特定の時間に、
特定の遺伝子とタンパク質の
発現を介してリズムを調整していくと。
そのメカニズムの説明で2017年にノーベル賞を受賞し、
それ以来、他の研究者はこれらの時計を体中の
あらゆる部位で見つけました。
脳や細胞がそれぞれ独自のリズムがあり
相互連携しあっている。すごいよね。
元々人間に備わっている機能なはずなのに、
いつのまにかこれがどんどん乱れていってしまう。
特に心配なのが睡眠。睡眠は非常に大事。
多少のエネルギー不足も、良い睡眠さえ
とれていればなんとかなるから。
逆に不眠はあらゆる人間の生理機能や
免疫力を低下に招いてしまう。
日本生活習慣病予防協会によると
日本人成人の20%が慢性的な
不眠を感じているとのこと。
また睡眠不足によってイライヤ、ストレス、うつなど
メンタルバランスが乱れ、
また短すぎる睡眠で過食を引き起こされる。
これは身体が覚醒状態を維持するために
必要なエネルギーを求めるときに起こる
生物学的な適応反応だからです。
これによって体重増にもつながり
血圧の上昇、糖尿病、心臓病、
心筋梗塞、認知障害などのリスクもあがってしまう。
この体内時計のリズムって簡単に崩れてしまう。
たとえば、夜間の食事。
生物学的な規則にのっとってない
奇妙な、違和感のある時間に食事をすること。
これにより肝臓にある体内時計細胞の
タイミングが変化してしまう。
相互連携していたはずの身体の
全体的な生理機能が直ぐに乱れてしまう。
オーケストラでいうところの指揮者不在な状態だ。
各楽器演奏者は混乱をきたし、
連携がとれなくなり、
バラバラになって好き放題しだす。
体に負担がかかり、
深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
この体内時計を時間通りに
稼働させるためには、
朝は明るい光が絶対に必要で、
就寝時間に近づくと柔らかく
減光する光が必要です。
早めに外に出て、日光を浴び、深呼吸。
少なくとも窓の近くで軽く伸びをしたり、
肩首を回したりして
凝りをほぐしてあげましょう。
そしてなにより朝ごはんを食べること。
ある程度決まった時間に、決まった場所に座って、
食べること。
この朝の決まった行為やルーチンが、
体内時計を規則正しく作動させる為に
非常に重要になってきて、
全ては夜にぐっすり眠る為、
良質な睡眠を得るための重要な
プロセス業務だということです。
週末は適度に20分から30分ウォーキング、
ヨガ、ストレッチなどの軽い運動を。
30分余分に寝るより、30分運動をしたほうが
心身共にパフォーマンスが向上し、
ストレス耐性もつき、体内時計のリズムが
一定に健康な状態で保たれます。
就寝時間に近づくにつれて照明を
減らすように注意しましょう。
夜に家に帰って明るい照明をつけると、
脳や細胞が、再び朝や日中の活動サイクルに
入る引き金になってしまいます。
夕方と夜間の明るい光は、通常よりも遅く
生物体内時計が遅れてしまいます。
朝や日中につけている電気よりも
少し落としぎみにすることで、
体内リズムが本来の人間が持っている機能として
夜用モードへと稼働開始される。
つまり夜の省エネ機能へとスイッチングされます。
それが睡眠なわけです。
あとテレビ、コンピューター、
またはスマートフォンなど寝室から電子機器を取り外し、
睡眠する1〜2時間以内に
使用を停止してください。
こうすることで、リズムが整い、明日起床から
スムーズに良い状態で朝を迎えられ、
心身共にパフォーマンスも向上していくでしょう。