Blog

2021/05/19 14:00




「うまくいっている人を見ると、
つい皮肉っぽく言ってしまう」

「何かに向けて取り組んでいる人を見ると
冷笑的でシラケてしまう」

こんなこと、今までありませんでしたか?

皮肉な考え方、皮肉な性格、
皮肉な物の見方。

物事を斜に構える。

皮肉、からかい、気取った、
不真面目な態度。

何かの達成に向けて物事に
誠実に取り組んでいる人を見て、

「どうせうまくいかないよ」
「あんなのやっても無駄だよ」

そしてトライしている人が、
結果的にうまくいかなかった場合、

「ほーら。だから言った通りでしょ?」
「ざまぁwwww」
「そんなのうまくいきっこないんだって」

冷笑的で、相手が転んで、
清々しい気分にさえなる。


皮肉は、メンタルヘルスの悪化や
脳の悪化に繋がることが分かっています。


Psychiatric Newsに掲載された
皮肉と健康との関係について調べた研究。

対象者はロンドン出身者35〜55歳の3,399人。

対象者の中には、皮肉、疑惑、恨み、
不信感を強く抱くという性格傾向のある人を
19年間追跡。

これら皮肉な性格特性を持った個人の大多数が、
19年間にうつ病を発症したことがわかり、

また抑うつ気分になる可能性やうつ病を
発生させる可能性が5倍高かったと研究で示唆。


また例えば、

2014年神経学者と神経科学の専門家からなる
世界最大の協会、アメリカ神経学会の
医学雑誌であるNeurologyで発表された
研究によると、

皮肉な不信感のレベルが高い人は、
皮肉のレベルが低い人よりも認知症を
発症する可能性が3倍高くなりました


また他にも、

2009年ピッツバーグ大学による
97,000人以上の女性を対象としたの研究では、

楽観的な女性の冠状動脈性心臓病、
がん関連の死亡、および死亡率が低いことが示されました。

逆に、悲観的で皮肉な性格の女性は、
これらの病気と死亡の割合が最も高かった。


このように、皮肉とは、
皮肉を言うことでストレスが溜まり、
自分のメンタルを不安定にさせ、
うつ病とも深い関連性があり、

集中力、記憶力、判断力、
言語能力の低下など脳の認知機能の低下、

そして心臓、癌、寿命にまで
影響を及ぼすということが
研究で分かっている。


人は、不安、怒りなどストレスを抱えると
身体も心も炎症レベルが上がります。

炎症という言葉1つでも多岐にわたり、

腫れや赤みのような炎症から、
うつ病も脳の炎症と呼ばれいてます。

2007年のミシガン大学の研究では、
ストレスを感じると炎症マーカーが上昇するのですが、
冷笑的である皮肉な不信が、最も高レベルに
炎症マーカーの上昇と関連していたと示唆。


これほどまでに斜に構えた、敵対的で
不信感のある「皮肉」というものが、

私達の心身に重大な影響を
与えてしまうということに、

いったいどれだけの人が
気付いているのだろう。

皮肉から解放されることは、

この先の自分の人生を充実させ、
人生を軽やかに生きていく上で、

とても重要になってくる
ということが分かります。


でも、どうして皮肉を言い、どうして
皮肉な見方をしてしまうのか。

皮肉の根底には、

過去に思い描いた理想、
希望が達成できなかった自分への失望、

過去の失敗、他人からの裏切り、
失敗の後悔、

幼少の頃、両親に認めてもらえなかった、
慰めてもらえなかった悲劇などで

自尊心、自分の未来、
他人の信頼、自分の信頼に
大きく傷がついてしまい、

もうどうせ無理だからやりたくない、
それを味わいたくない、恥をかきたくない、
恐怖、不安から守るために、

皮肉という否定性が
作動しているということ。


否定的な人生観。


他人を信頼することができず
明るい希望を持てずに悲観的、否定的。

他人に不平を言ったり、非難したり、
批判したりすることで、

自分の恐れや失望を覆い隠す。


皮肉な性格を持っている人と、
うつ病に苦しむ人が共有する
1つの思考プロセスは、

自分に親切に優しくしてくれた人に対して
「これは何か裏があるに違いない」と
不信感や疑念の目で見てしまうということ。

常に疑わしく、他人の動機、能力、経験などに
疑いの目を向けます。

皮肉というのは、世の中をネガティブなレンズを
通して見てしまうということ。

それは自分の内側にも向けられ、

自分は価値がないと感じ始め、
自分は十分ではないと信じていき、

厳しい自己判断で、
周りの世界を投影するようになる。

このような否定的なレンズを通して
見ていくクセがついてしまうと、

目の前で起こっている人生の
小さな喜び、チャンスを
逃してしまうということ。

人生から喜びと楽しさを奪い、
孤立した気分にさせる。

そして、皮肉は、「どうせ叶いっこない」と
未来を変えるためのモチベや
力を失ってしまうことにもなるということ。

そして皮肉は過剰なアルコール、
過食など中毒性のある行動に
走りがちになります。

そこで、この皮肉な考え方を止めるために、
できることとして、


1)皮肉屋であることを認める



最初の最も重要なステップとして、
自分が皮肉屋であるということを
認識することです。

何についても「いいえ」と答えるような否定性が、
自然と思考回路に順応してしまっている。

あなたは友人から「いつも私の意見を否定する」と
言われたことはないでしょうか?

大勢の人が、自分が、何においても同意せず、
否定的な見通し、冷笑的な世界観を
持った人間であることに気づかずに、
一生を過ごしてしまいます。

まずは、自分が皮肉屋であり、
常に物事を斜に構えて否定的に、疑って
見ているということを認識する。

そして、「自分は何かをする、できる幸運に
恵まれているんだ」と今、こうして日常を
過ごせている自分に感謝し、希望を与え、
暗闇を照らすようにします。

承認するということは、
真っ暗な部屋に灯りをともす作業になるということ。


2)感謝すること



皮肉な態度を遮断する感謝の気持ち。
感謝の気持ちを意図的に実践するクセを付ける。

感謝の気持ちを実践することで、
皮肉を中和し、前向きな姿勢、積極性を
育んでくれるから。

日常の当り前に感謝する。

毎朝もしくは寝る前に
感謝の日記をつける。

例え小さなことでもいい。
感謝していることを3〜5つ書き留めてみる。

・温かく、雨風しのげる住む場所があること。
・十分な飲み水。
・いつでも物が買える
・夕日や森の中でのんびり散歩

他にも

・自分の今持っている特技、長所、スキル
・これまでで成功したこと
・人よりも早く、うまく、簡単にできたこと

普段考えない、当たり前に感謝する。
既に持っている物に感謝する。

その感謝を紙に書き、リスト化しておき、
のちにその感謝リストを見返す。

普段の同僚、友人、家族、両親とのたわいもない会話や
当り前にやってもらっている家事、業務、食事など
仕事やプライベートで、普段の当り前について
改めて振り返り、それに感謝したり、


3)呼吸&瞑想



マインドフルネスを実践することは、
皮肉の中和に役立ちます。

不安や悲劇に対処するために、
皮肉はそれらを覆い隠します。

瞑想をし「今」に集中すること。

判断を下さずに彷徨う心に気づく。
落ち着いた場所から自分の考えを観察する。

感情を傍観すること。

そして浮かび上がる自分の
否定的な考え方を認め、否定性を認識し、
それを受け入れ、それを通過させる。

まるで自宅の窓から、雷雲が過ぎ去るのを
ただただボーっと見ているかのように。

衝動的に否定性の感情に即座に反応して
実行する前に、一時停止し、

衝動的な反応との間に
距離を作ること。

自分の呼吸に集中する。

目を閉じて座って、鼻から出入りする空気、
呼吸のカウントに集中します。

通常よりも穏やかで少し深い呼吸をし、
腹部(胸ではなく)で呼吸するようにしながら、
1〜2分間行います。

複式呼吸とは、息を吸う時にお腹を膨らせて、

お腹に空気を入れ、吐くときに、
ゆっくりと凹ませていく呼吸法です。

副交感神経が優位になり、リラックス、落ち着き、
ゆとりが生まれます。

鼻から息を4秒間吸い、7秒間息を止め、
8秒間息を吐く。

秒にこだわらなくてもよい。
自分で1、2、3、4、とカウントする。

今に焦点をあてること。

過去や未来の不安や心配などで
右往左往し、否定的な状態から

落ち着き、素直に、心を開き、
今の感情に集中しやすくなります。


4)創造的であること



創造性は皮肉を抑制してくれます。

1日わずか5分でいい。

ワクワクし、好奇心を持ち、
心をオープンにし、楽しむ時間を
確保すること。

好きな音楽を聴いたり、
絵を描いたり、運動したり、
スポーツをしたり、
好きな人と時間を過ごしたりするなど。

前向きな活動が多ければ多いほど、
冷笑的な気持ちは少なくなり、

世界をよりよく見ることが
できるようになる。


5)考えを記録する



皮肉な思考パターンの習慣、
皮肉が出て時のトリガー(引き金)を把握する。

・身近な人の成功
・他人との比較時
・同僚の出世
・他人のやりはじめたこと
・他人が時間を割いて注力していること

皮肉を言い、疑いの目で見て、
嘲笑的、冷笑的に見てしまう時とは
どんな時ですか?

これらを衝動的、自動的に反応しているなら
まずは自動応答してしまうトリガーを
事前に棚卸ししておくこと。



6)輪ゴム



輪ゴムを手首にはめていきます。
皮肉を言っていることに気づいたら、
引っ張って、パチン!とする。

皮肉を言う度に
パチン!として、「痛っ!」てなる。

「このパチンという痛みで、
皮肉は全て止まり、消え去り、
元の素直な私に戻る」など、

オープンなマインドで、
自分に役立つ言葉、考えで
言い直し、それを自分に言い聞かせます。

何度も思考の訓練を行うことで、
脳の回路は、

「パチン=皮肉が消える」という思考回路を
作り上げてくれる。

また輪ゴムの数はそれだけ皮肉を
言ったり感じたりしている回数なので、
視覚的に把握もできる。

そのうち輪ゴムを見ただけで、
想像しただけで止まるようになる。



7)他人の資質を見るようにすること



他人の弱点にばかり焦点を合わせるのではなく、
長所や最高の資質を探し、それらに
焦点を合わせるようにする。

他人のポジティブ要素に
視点を合わせることで、
ネガティブな考えや感情の余地が
軽減されるから。



いかがでしたか?

皮肉を言う、思うことで
問題やトラブル、危険を避けることが
できるならいいですが、

それがストレスとなり自分へ跳ね返り、
健康、人間関係、キャリアに影響を及ぼし、
不幸の原因となっているならば、
その皮肉な態度を改めたほうが
いいよねってことで。


おあとがよろしいようで。
今日はここまで。
おしまい。



Good virtues グッドバーチューズ