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2021/06/18 14:00
「あー幸せになりたり」
「もっともっと幸せになりたい」
人は誰しも、幸せになることを願っています。
快楽順応、快楽適応という言葉が
心理学ではあります。
英語ではヘドニック・トレッドミルと言います。
これは最悪な事があれ、良い事があれ、
それは最終的には、元の感情に戻るということ。
宝くじに今日あたったとする。
めちゃくちゃ嬉しくて、
体中に電気が走ったような、
しびれるような興奮を急速に味わう。
なんて幸せなんだと。
でも数日、数週間で、
下手したら数時間で、
元の感情、何もなかったような、
以前の、宝くじが当たる前の、
普通に暮らしていた時と
変わらない感情に戻る。
感情が慣れてきて、
目新しさがなくなり、
感情が元の幸福度の位置に戻る。
この感情が急速に高まるほど、
その揺れ戻しとなる戻りのスピードも速くなる。
良い出来事も悪い出来事は一時的。
長期的には、相対的幸福レベル、
通常の幸せレベルにまで戻っていく。
この状態と一緒に、
セットでよく述べられることとして、
人はどのレベルにまでいっても満足せずに、
元の幸福感に戻る。
だから更なる快楽を求めてしまう。
どのレベルに達しても更なる幸せを追及する
状態で、決してゴールには到達しない。
延々にランニングマシーンの上を走っている状態。
ヘドニックは快楽、トレッドミルとは
ランニングマシンのこと。
快楽のランニングマシン。
多くの不満は、より多くを求め、
果てしなく終わりのない快楽と欲望を
駆り立てていきます。
お金、地位、業績、物欲・・・
これらは自分が今持っているものでは
不十分や不足しているという判断から来ています。
このヘドニック トレッドミルという用語は、
1971年ブリックマンとキャンベルの
「快楽相対主義と善良な社会の計画」
に最初に登場したと言われています。
この理論は基本的に、
安定した経済レベルを
持つことにおいてはもちろん大事なことですが、
「お金で幸福は買えない」
ということを支持しています。
幸福レベルを上げる手段として、
富の増加ということに過剰に焦点を
当てすぎるべきではないということを
言っています。
実際に、多くの貧困問題を抱えている
アフリカ社会で幸せだと答える人が
非常に多くいるということ。
またお金を持っていても
幸せを感じられない人もいるということ。
物質的な所有物がほとんどない
シンプルな生活を送るミニマリストに
幸せを感じれる人もいる。
所持している物が少なくても、
持っているものを大切にする。
持ち物への感謝と、それを大事に扱う。
常に「もっともっと欲しい」と次から次に、
常に欲して、探しているわけではない。
長期的な幸福というのは、
どれだけたくさん持っているかという
所有物の多さや、
どんな高価のものを持っているかという高価さ、
豪華さ、華やかさではなく、
”持っているものを
どれだけ楽しむことができているか”
ということを意味している。
「今、なんか物足りない」
「今、なんか不足している感じがする」
充足されていない、
満たされてない退屈な日々。
もっと幸せを感じたいと、
絶え間ない欲求に駆られる。
以前、フェイスブックでも記載したのですが、
幸福を追及すると、逆に不幸になるリスクが
高まっちゃうってことが
最近の研究結果でも出ている。
カリフォルニア大学
バークレー校のIris Maussによる
幸福の追求と気分との関係についての研究。
参加者へ
「自分の幸せに影響を与える
範囲でのみ人生のことを大切にしている」
「幸せを感じても自分の幸せを
心配している」
このような質問を様々しかけていき、
どの程度同意したかを評価。
これら質問に高得点を獲得した参加者は、
日常生活に満足していない傾向があり、
比較的ストレスが少ない時でも、
抑うつ症状を示す可能性が高いことを発見。
この実験の続きとして、
参加者に気分が良いことの
利点を説明する段落を読んでもらい、
プロのフィギュアスケート選手についての気分の良い、
感動的な映画を見せた。
自分の幸福を、最優先の重要事項として
焦点を置いているから、
感動するよりも、
むしろ楽しさや喜びが低下したんだって。
例え目の前で何か楽しいイベント事が
起こっていたとしても、
「心ここにあらず」というか、
楽しい瞬間をあまり楽しんでいないことが
わかったんだってさ。
幸せを感じたいという
絶え間ない欲求は、毎日の満足感を減らし、
幸福を達成するための非常に
高い基準を持ってしまい、
日常の楽しみを
楽しむことができなくなる。
小さな幸せ、小さな喜び、
小さな結果や達成に喜びを感じたり、
自分をほめたり、
思いやることができなくなり、
それらを評価しなくなってしまう。
常に未達成な、不満感や不足感にさいなまれ、
「もっと、もっと」と馬車馬の
ように自分を懲らしめ、永遠とムチをうつ。
その結果、より不幸になる。
幸せを誰よりも願い、
誰よりも追求しているはずの自分が、
まさか実は逆に遠のいてしまっていることを
自分自身でやってしまっていることになるなんて・・・・
つまり、幸せを体験する秘訣というのが
あるとするならば、
それは未来のことに目を向けるのでなく、
今いる瞬間を楽しむことであるということ。
もちろん未来のことを想定したり、
想いを馳せることを否定しているわけではなく、
未来に慢性的に没入して、
未来の不安やできないと意味がないなどの
完璧主義で立ち往生し、
未来の未達成についての
不足感や満たされない感情で
毎日、埋め尽くされてしまっているなら
それはもったいない。
そこで、
快楽のトレッドミルを避けるコツとして、
1)瞑想
立ち止まって、今、この瞬間に
意識を集中させること。
一時停止し、自分を見つめる時間を確保する。
日常に忙殺されて、
見失ってしまっている自分の周りの
小さなことに気付くようにもなるから。
瞑想は、過去の後悔、未来の不安や心配を
反芻するのではなく、
今、目の前のことに集中することに
意識をすることができる。
マインドフルネス瞑想の実践は、
自分の考え、感覚、感情に習慣的に
注意を払うことで、
本物の自己、純粋な自己と一致した
目標を立てやすくなり、
またその達成を助けてくれる。
本物の自分と一致する目標を認識する能力を
高めることができる。
自己の内面を観察し、
定期的に自分自身を振り返り、
自分の内側とつながるために
時間を確保すること。
それにより、真の自分の役割や
やりたいことも発見、明確になったりする。
考えがふらついている自己不一致な目標を
立てる意味、メリットを感じなくなる。
理念に沿った目標だから
お金の為、物質的なオブジェクト(車や時計など)、
世間の評判、他人の顔色
などの外部の影響ではなく、
また、ヘドニックトレッドミルから離れ、
人生でより高いレベルの幸福を
生み出すことができる。
2)未来に過剰な期待をしない
前述した通り、今を生きることは
ヘドニックトレッドミルから離れるために
重要になってくる。
ジェフ・ゴインズの「The In-Between」
「中間:今と次の大きなものの間の緊張の中で生きる」の
概念を参照とすると、
私達は、日々、未来の結果を楽しみにしています。
週末の予定、長期休暇の予定、
ボーナス支給後の生活、
出世、結婚、子供・・・
またやりはじめた、習い事、
趣味についてもそうです。
あらゆる大きな期待を待って日々過ごしている。
未来のポジティブを想定しているストーリー、
期待、結果への意識。
この意識が未来の大きな結果に
向きすぎることで、
今、この瞬間のことに注意を払えず、
大事な時間、楽しい時間、幸せな時間を
十分に味わえなくなり、
見えなくなってしまう。
今を、未来の結果に期待している間の時間、
未来の期待を待っている時間、
人生の待機期間と認識し、
「次への期待」という名の駅に着くまでの
待っているその状態は、
「まだか、まだか」と
今、この瞬間や日々の出来事には目もくれず、
通り過ぎ、
未来の期待へ到達できない
不満感、不足感、不安や心配、
焦りにも繋がる。
未来へ行ってしまっている意識という
貨物列車のスピードを減速させ、
今に集中させる。
例えば、試しに小説を書いてみて
ブログにアップし、人気作者のように
出版化を目指しているとする。
無名の作家のアクセス数は
もちろんないに等しい。
未来に意識が向きすぎていると、
不満になる。
例え1人、また1人と増えてきても、
不満になる。
結果がどうであれ、
今、プロセス、小さな変化を最大に
楽しむことという思考にはならず、
少しの成長、小さな努力の結晶に
満足できないから、
常に不足感を覚え、喜べなくなる。
どこか不満になり、つまらなくなる。
私たちには楽しみにしていることは
人生にはたくさんあるはずなのに。
瞬間のことを、十分に味わえないと、
その過程を、その間の時間をも、
無駄になり、どうでもよくなりさえする。
意識を今に、スローダウンさせる。
次への「中間」を楽しむ、味わう。
幸せと感じるその感情は、
今、この瞬間にいるとき、今を
意識して、今に集中している時のみに
その選択ができる。いないと選べないし、
未来に飛んでいては味わえない。
いつまでたっても味わえないし、
満足できない。
未来のために、目標のためにと
未来志向は大事。でもそれで
現実が盲目的になっていいという
意味ではないから。
本当の喜び、心からの満足が現れるのは、
今、この瞬間なのだから。
3)満足すること
時間を忘れて何かに没頭することを
「フロー状態に入る」、
「ゾーンに入る」など言います。
このフロー状態は満足感を
非常に高められ、幸福感の向上を
得ることができます。
ゾーンに入るには、
対象物が簡単すぎても、すぐに飽きてしまい、
明らかに難しすぎても、ストレスを感じて
克服できずに、辞めてしまうからダメで、
自分のスキルとの
バランスもけっこう重要で、
「難しいけどなんとか頑張れば
達成できそう」っていうくらいが
一番ゾーンに入りやすく、
潜在能力が発揮され、
スキルを限界まで押し上げてくれる。
心地が良く、また達成した際の達成感や
自信も更に向上すると言われています。
満足には、絵画、音楽、手芸、
小説を書くなど芸術やクリエイティブで
創造的なもの、
ヨガ、水泳、テニスなどスキルを
習得するようなものや、
瞑想や読書など、趣味と見なされることが
多い活動が含まれています。
ただ、これら同時に
継続力というものも重要になってくる。
その継続力を簡単に育むコツとして
下記の過去記事が役立つかと思うので参考に
してみてください。
■自己規律を育む
これら満足することが、
全体的な幸福を向上させ、
永続的で、長期的な結果をもたらします。
4)楽しみや喜びを1日の中に取り入れる
友達に電話して話しをする、1杯のコーヒーを飲む、
好きな音楽を聴く、香りの良い入浴剤を入れる、
子供と遊ぶ、好きな小説を読む
人生に喜びを感じる瞬間、
小さな喜びの種をまく。
1日のうちのどこかに
スケジューリングする。
他にもあなたが楽しいと思うこと、
趣味をやる時間を作ること。
毎日でなくてもいい。
週に1回だけでもいい。
例えば、ゴルフ教室、ヨガ教室、陶芸教室、
料理教室、ボイスレッスン、絵画教室、
フラワー教室・・・
上手い、下手の結果は手放し、
「ただそれをやりたいからやる」。
自分の楽しみや満足を他人とも共有でき、
自身の能力も深まり、成長することも感じれる。
快楽的適応から離れて、
残りの人生にも利益をもたらしてくれ、
人生でより高いレベルの幸福を
生み出すことができる。
5)意味のある目標を設定する
自分にとって意味のある目標を設定する。
目標の追求と人生の満足度、幸福度は
関係性があるとされているから。
目標を達成することで、
人は幸せに感じ、達成感や満足感を得られ、
目標に向けた行動が増えていき、
行動を促すきかっけにもなるから。
小さくても良いから、少しづつ、
少しづつ積み上げていく。小さくてもしっかりと
自分を祝福し、称え、進歩を味わい、
噛みしめること。
確かに進歩しているという実感を掴み、
幸福の増加を経験する。
それが更なる行動を生み、
幸福へと繋がる。
6)感謝をする
毎晩、毎朝、いつでもいい。
1日1回、感謝する。
毎日「感謝のエクササイズ」を行う。
感謝の気持ちは、人々を恨みや絶望から遠ざけ、
代わりに幸福を促進できる。
既に持っているものや、
当たり前のことに感謝すること。
自分が持っていないものに意識を集中してしまうと、
決して満足がいかなく、
常に不足を感じてしまうことになり
つまらなく、劣等感だけが大きくなる。
実際に感謝の日記を2週間維持すると、
ヘルスケア開業医の知覚されたストレスが28%減少し、
うつ病が16%持続的に減少します。
また感謝の気持ちは、23%低いレベルの
ストレスホルモン(コルチゾール)とも
関連しています。
7)幸せを中心に生活をデザインしていく
スタンフォード大の有名な
「Designing Your Life」クラスによれば、
実際に自分にとっての幸せとは
何かというのを理解し、
その幸せをライフスタイルに組み込んでいき、
自分の人生を再構築していくという。
抽象的に幸福を追い求めるだけでなくて、
毎日それをノートに記録することを勧めています。
詳細を書き留めることから始めます。
自分が幸福を感じた時はどんなことだったか、
何をしていたか、
なぜそれが自分にとって幸せだったのか、
基準や根底を探っていく。
その日に楽しんだこと、
楽しいと思ったことへアンテナを立てておく。
繰り返し発生するテーマやパターンに
気づいた場合は、
目標やルーチンを変更し、
それらをライフスタイルに
どんどん組み込んでいく。
外装や表面はまるで違う事象でも、
根底や本質が一緒なら、
それはきっと楽しくハマるはず。
いかがでしたか?
長期的な幸福の1要因として、
自分にとって意味のあることを追求し、
そして今、既に持っている
素晴らしいものを認識し、
それらを楽しむことってのは1つとして
あるということ。
おあとがよろしいようで。
今日はここまで。
おしまい。