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2021/08/23 14:00
「それ知っている」「それ聞いたことある」
「それ見たことある」
このような、
以前に~したこと記憶があるという
「既知」状態の思考回路。
この認知のフレームワークを
心理学ではスキーマと言われています。
新しい物事に触れる際、
人間の脳は、過去の経験や
知っている知識など膨大な情報の
データーベースから検索します。
似たような、同じような
体験、経験、情報はなかったかを検索します。
子供に、過去に、赤くて、丸いものは
リンゴと知ったとします。
そして今、目の前には、
赤い丸をしたものがあります。
トマトです。
子供は、これはリンゴだと
検索結果で出たから、リンゴだと思います。
実際食べてみたらそれは
リンゴの味はしなかった。
「こんな味のリンゴもあるのかー」と
既存のスキーマは新しく更新されますが、
次に「それは、トマトっていうんだよ」と
親に説明されました。
ここで子供にはトマトという
新しいスキーマが形成されました。
4本足でヒヒーンとなく
大きな動物は馬であると
スキーマを持っているとする。
そこに牛が現れた。
馬のスキーマを適応する。
でもそれはモーと声を出す。
「これは馬じゃないんだ、牛って動物だよ」と
教えられる。
既存のスキーマが変更され、
牛という新しいスキーマが作成される。
簡単に言うと、
思考回路って感じかな。
脳っていうのは、毎秒、
膨大な情報量をさばいている。
寝るまで。寝ている間も動いている。
なるべく脳自身、負荷を減らし、
大事なことにいつでも集中できるように
何か判断する時は、
過去のデーターベースを検索して
瞬時に回答できるような設計になっている。
過去の経験、体験、
知っている情報の範囲内で
回答がでるようにすることで
ショートカットになり、
脳の負担、負荷も軽減されるから。
以前に使ったことのある
思考の回路を使うようになるから
既知状態というのは安心でもある。
既存の思考回路の利用、
思考パターン、既知状態というのは、
ショートカットもできるし、
脳負荷も軽減される。
ただし、
信念化されてしまった既成概念、
凝り固まってしまった思考回路は、
考えや信念が昔のままアップデートされずに
思考範囲が狭くなり、
ステレオタイプとなり、
自己の成長、新鮮な視点、
新たな自身の可能性や発展性を
停滞させてしまうことにも
なりかねない。
人が新しい情報を取り入れ、
新しいことを学ぶにつれて、
常に環境に適応しスキーマは更新され、
新しくなっていく。
もし仮に、固定化されたスキーマが、
ネガティブなスキーマだった場合だと、
無意識に否定的な思考パターン、
行動パターン、自己敗北パターンを
とってしまうことにも繋がる。
スキーマが否定的な方向に導く場合、
それらは「不適応スキーマ」と呼ばれています。
例えば、たくさんの愛情を受け、
大好きだった母親。
その母が子供の頃、亡くなったとする。
子供は、
「誰かを心から愛した時って
見捨てられちゃうんだ」
「どうせ愛しても、その人は私からいなくなっちゃうんだ」
という信念に基づいたスキーマが作成される。
そして
「愛することは良い考えではない」
「愛することは傷つくこと」
という心理を抱いて大人になり、
中々、恋愛できなかったり、
順調にデートを重ねて、
良い雰囲気になってきたところで
関係をわざと崩壊させてしまったり、
親密を恐れて逃げてしまったりする。
認知に歪みが生じてします。
スキーマは強い信念で生涯を通じて生き続け、
維持されます。
否定的な信念、思考パターンは
出来事に対する見方を歪めています。
このスキーマの開発と作成は、
主に子供時代に作られる。
子供時代の経験と
満たされていない感情的なニーズ。
これらがベースとなって
考え方、感じ方、信念が作られる。
その結果として、
成人の思考、行動パターンも作られる。
大人に成長するまでの
子供時代に
感情的なニーズ
(安全な場所、愛、尊重、
ガイダンス、受け入れ、自律性、承認、
共感、理解、喜び、自己表現など基本的なニーズ)が
子供時代に、健康的に、適切に、
感情を満たされていない状況だったり、
他にも
親の懲罰的、批判的、
要求の厳しい声を子供の内面へ
定着させてしまう幼少期だったなど、
これらがスキーマとなって
大人に成長する。
否定的な子供時代の経験を通じて
スキーマが形成され大人になる。
感情的なニーズが
不足した状態で成人期に移ると
大人になってから、
直面する出来事や人間関係において、
自分の感情的なニーズを満たす能力や
満たす方法を見つける能力を
欠き続ける可能性があり、
否定的な信念、否定的な思考で、
出来事を斜に構えて卑屈で、
偏見で見て、
現実を否定的に歪めて
判断したり、
古びたステレオタイプな思考に
執着してしまったり、
うまく感情を満足させることが
できなかったり、
うまく感情を処理できなかったり、
またその方法が分からない状態になる。
それによって、
否定的で、批判的で、
自己敗北感、自己破壊的な行動パターンを
選択をしてしまったり、
有毒な人間関係を形成したり、
十分に発達した社会的スキルを欠いたり、
罪悪感、自己肯定感の低下、
自分の無価値感、
自己不信感を体験することにも繋がる。
以下のスキーマはそれぞれ、
小児期または青年期に適切に満たされなかった
特定の感情的ニーズを表しています。
・感情的な剥奪
自分の主なニーズは決して
満たされないという信念。
誰もあなたを育てたり、世話をしたり、
導き、保護したり、
共感したりしないという感覚。
・放棄
他人はいつか去る、他人は信頼できない、
人間関係は壊れやすい、
どうせ人は死ぬ。
最終的に一人で人生を
終えるんだという信念
・不信/虐待
他人を信頼しない。
他人が虐待的、操作的、利己的、
またはあなたを傷つけたり
利用しようとしているという信念。
・欠陥
あなたが欠陥がある、不足している、
愛されていないという信念。
それによって他人を拒否する
社会的孤立。疎外感と相まって、
孤独感にさいなまれる。
・脆弱性
世界は危険な場所であり、
災害はいつでも発生し、それに襲われ、
防ぐことができないという誇張された恐怖。
エレベーターの故障、犯罪者の犠牲、
飛行機の墜落、地震など
・依存/無能
自分自身の決定を効果的に
行うことができない。
自分の日常の責任を他人に頼る
必要があるという信念
・エンメッシュメント/未開発の自己
個人のアイデンティティが
不十分であるという信念。
空虚感や挫折感、方向性のない感覚、
自分の存在を疑う感覚。
・失敗
失敗する、または十分に実行できないという信念。
学校、キャリア、スポーツなどにおいて、
失敗した、必然的に失敗する、
または仲間と比較して
根本的に不十分であるという信念。
過剰に、自分は愚かで、無能で、
才能がなく、無知であり、地位が低く、
他の人よりも成功していない
などの信念が含まれます。
・征服
他人の支配に服従しなければ
ならないという信念、
さもなければ罰または
拒絶が間もなく来るという不安
・自己犠牲
他人のために自分のニーズを自発的に
あきらめるべきであるという過度な信念。
・承認
他人の反応に依存する。承認、賞賛、
注目を集めるための手段として、
ステータス、外観、社会的受容、金銭、
または達成を過度に強調するなど。
多くの場合、本物ではない、
または真に満足できない人生の決定をもたしたり、
周りの目、他人の目を気にし、
拒絶というものに非常に過敏となる。
・感情的な抑制
自分の感じたい感情を過度に抑制する。
感情を押し殺す。
自分の感情やニーズなどについて
自由にコミュニケーションしたり、
助けを求めたり、
自分を開示したりすることが難しい。
・否定性/悲観主義
人生の否定的な側面に焦点を当て、
将来の否定的な考えに繋がり、
肯定的な側面を上回っているという一般的な信念。
損失、屈辱、または悪い状況に
陥る可能性のある間違いを犯すことを
過度に恐れます。
潜在的な否定的な結果が誇張され、
慢性的な心配、警戒、
不平、優柔不断を特徴とする。
・容赦ない基準
あなたは最高である必要があり、
常に完璧を目指して、または間違いを
避けるために努力する必要があるという信念。
・懲罰
人々は自分の過ちや欠点のために
厳しく罰せられるべきであるという信念。
・資格/誇大感
自分は他人よりも優れているという信念。
特別または重要であり、
他の人に悪影響を与える可能性があるとしても、
他人のように規則に従う必要がないという感覚。
権力や支配を達成するために、
優越性に誇張して焦点を当てる
(最も成功している、有名である、裕福である)。
他人に対する過度の競争力や
支配が含まれる場合があります。
自分の力を主張したり、
自分の視点を強制したり、
自分の欲求に沿って、
他人の行動を制御します。
他人のニーズや感情に、
共感や懸念を抱くことはありません。
・不十分な自制心/自己規律:
特にプロセスが退屈で、反復的で、
苛立たしい場面の場合、
目標を達成できないという感覚。
また、有害な結果につながる衝動、
行動に抵抗することはできません。
そこで、
1)スキーマを特定する
自分との関係において否定的な信念はなんですか?
自問する。
「自分は面倒くさがりやだ」
「自分は何やっても続かない」
「自分は嫉妬深い」
など。
そしてそれはあなたにとって
どういう意味ですか?と自問する。
これらの信念が何を意味するのか?
自問する。
「自分は面倒くさがりやだ」の場合、
「傷つきたくない、できない自分、
能力がないことを認めたくない。嫌なことから逃げる」という
信念、スキーマを持っている。など。
2)トリガー(引き金)を特定する
どういう時に、どういう状況で、
上記のような否定的な
不適応スキーマが現れるのか。
他人とやり取りしている
すべてに注意を払い、スキーマが
トリガーされる瞬間に注意する。
具体的には日記を書いたり、
スキーマが現れるすべての
トリガーを特定して書き留める。
「否定的なスキーマが発生した」と
トリガーとなったイベントは何か。
把握に努める。
3)スキーマ発生時の考えや感情を特定する
どういう否定的なスキーマが
自分の前向きな行動をとることを妨げるのですか?
どうしてもそれを止める必要がありますか?
否定的なスキーマを持っているとき、
どんな感情が引き起こされますか?
スキーマがアクティブ化されたときに
思い浮かぶ考えや感情を特定すること。
4)価値観を特定する
スキーマがトリガーされたとき、
どうなりたいか、
どうしたいかを明確にしておきます。
罪悪感、孤独、
傷ついたと感じたとき、
どのように対応したいですか?
あなたがなりたい人は、
どのように対処していますか?
これらすべての価値観を書き留めること。
5)新しい行動をする
どのようになりたいか、どのように
対処したいか。そうなるには、
何をやらなければいけないか。
行動プランを書き留める。
この振る舞いを
どのように試して、いつ、どのように
コミットするかを考えること。
新しい行動を練習する。
今まで何十年も疑いようのない信念で、
自動応答的だった
自己敗北的思考のパターン、
否定的な思考パターンに
くさびを打ち込む。
これまでの思考パターンや信念に
改めて気付き、
自分が望む自分や他人との関係、
自分がなりたい人に近づく行動をとることで
すぐには結果が出るものではないけど、
筋肉と同じで、訓練すればするほど、
新しい思考回路、パターン、行動は
より太く、強固になり、
古く凝り固まったパターンを
徐々にアップデートできるのでは。
それをする価値は大いにあるということ。
おあとがよろしいようで。
今日はここまで。
おしまい。